「ユースレスマシン」はとある学生の春夏を描いた青春ストーリーだ【全曲レビュー】

ハンブレッダーズのメジャーデビューアルバム「ユースレスマシン」が、1曲1曲のクオリティが濃すぎてレビュー書かざるを得なかった。

アルバムが出たのは2月でこのブログを書いているのは5月。随分時差ができてしまったけど仕事とか色々あったんです。
最初に通しで聴いた時から「これは書かねば!」とは思っていました(震)

個々の曲を見る前に、アルバムの特徴を2つ。

1つは、何回聴いても俺の心臓にまでブルわせるボーカルムツムロの歌い節を、アルバム全体を通してフルコンプリートしていること。

節目のアルバムとあって、これまでのムツムロ節をフルコースで堪能できる有能作になっている。それに加えて、新しい歌テクまで手に入れていました(俺主観)。詳しくは以下本編にて。

もう1つは、アルバムの11曲が、曲順の通りに一続きのストーリーを描いていること。本人の意識は違うものなのかもしれんが、俺は間違いなくそう感じる。
これは、新学年の4月から1学期が終わる7月までの甘酸っぱい青春ストーリーを音楽によって語った作品である。
その辺のストーリーも踏まえながら曲を紹介していく。



1.ユースレスマシン

タイトルナンバーであり、メジャーデビューにあたっての所信表明演説。
この曲について思うことはこっちの記事にまとめて書いてあるので、詳しくはそっちを見てほしい。

アルバム「ユースレスマシン」の中でのこの曲の位置付けは、以降の曲とは一味違う。


さっきストーリーがあると言ったが、それはあくまで2曲目「見開きページ」から。
楽曲「ユースレスマシン」は、ハンブレッダーズというバンドの自己紹介であり、アルバム「ユースレスマシン」というストーリーの作者の自己紹介でもある。


2曲目「見開きページ」を文字通り本の見開きページとするなら、ユースレスマシンという曲は裏表紙の内容紹介であり、表紙裏の作者紹介文だろう。

紹介文としてえげつないぐらい内容詰まってたので、1曲で記事を書くことになってしまったのです()



2.見開きページ

見開きページというタイトルだが、目次とかそんなもんじゃなくて、ちゃんとストーリーが始まっている。東野圭吾の本なら5ページぐらい開いてる。


時期は、新学年が始まった一学期の初めの週。ベタな少年マンガのあるあるネタを超ビューティフルな曲に仕上げるハンブレの強さここにあり。


どうやら遅刻を懸念する少女が転校してきたみたいだ。でも曲がり角でぶつからずにすれ違ってしまう残念さがいかにもハンブレの主人公らしい。


ラスサビ前に思いっきり叫ぶ「大好きなものに大好きって言わなくちゃな」というバカ正直な歌詞がとても好き。


3.ユアペース

青春の進展が自分の思い通りにいかない、全部君のペース。でもなんだか楽しい、そんなポジティブな曲。


ハンブレあるあるの、クラスの中心に立てないながらも、ちゃっかりいい感じの青春を楽しんでる非リアブチギレ案件である。


もう立派に映画館デートなんかしちゃって、それでも満足しきれずたまには公園でダラダラしたいという。理想がウブ過ぎる。大人のだらだらといえば家で1日中セッ(自主規制)


歌詞にも「いつだって君のペースで物語は進んでいくんだね」

とあるし、やっぱりこの曲も含めてこのアルバムが一つの大きなストーリーになっているんじゃないか(ゴリ押し)。

進展の時期はGWぐらいかな。


4.ブランコに揺られて

過去の別れを思い出したような歌詞がしんみり来る歌。

今までになかったレベルでドバラードだが、この路線もめっちゃいいなと思った。
むしろムツムロの声はバラードの方がハマってるのかもしれない。


サビで藤川球児のストレート並にノビのあるストレート高音を振り絞り続けてからの、「見とれた↓~」で下顎ビヨ~ンて伸ばさないと出せなそうな落差のオバケフォークを落とす。

これは新しいムツムロ歌のシンボルにしていい。
カラオケの精密採点にある「フォール」ってやつのお手本でしょこれ。
カラオケでできたら絶対気持ちいい。


この歌をストーリーにはめ込むなら、ユアペースまで紡いできたストーリーのその前、真夏のブランコに揺られながら見とれた「あの子」の思い出の回想歌という位置づけなのではなかろうか。


今更 終わりの会 開いた 一月 君が泣いていたのは 僕のせいだ
新しい幸せを感じ始めた5月、それでも忘れられない冬思い出がふとフラッシュバックしたのだろう。


5.マイラブリーボアダム

前曲のしんみりとは真逆の、お気楽ダルダルモード全開の歌。睡眠至上主義に近い。


きっとストーリーの主人公は五月の半ばか後半ぐらいで、五月病になってしまったんだろう。


この曲で最高に推せるのは、

「俺が決めるんだはぁ」のため息と歌声を同時に出す一人二役の声。


これもムツムロ歌のシンボルの一つで、

「弱者のための騒音を」のラスサビ「子どものままdへぇ~大人になろう~」
などにも見られるやつ。

どこから声出してるねんあれ。聴けど聴けど分からないし、真似できない芸当。


6.約束

これは全体の完成度たっかい歌だなぁ。これでもかとギターの音を焦らしながらゆっくり上がっていくイントロから惹き付けられる。吸着力えぐい。


個人的に、イントロだけならキュウソの「冷めない夢」と印象が重なる。


そしてそのギター音は、サビでも俺を惹きつけたまま離さない。


二番後の、Ah~~~~~~~~~~って言いながら消えていく裏声パートもしんみりしてていいよね、、、、、



Ah~~~~~~~~~~~~~~~~~~~(エモい…)





Ah~~~~~~~~~~~~~~~~~~~(エモい…)





Ah~~~~~~~~~~~~~~~~~~~(エモい…)





Ahぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!

(ファッ??!!)


夜空が赤く溶け出してえええええええ!
部屋には風が吹き出してええええええ!
ここからまた歩き出すよおおおおおお!
途切れたままの約束をおおおおおおお!

約束をおおおおおおおおおおおおおお!


二番までの落ち着きは最後に爆発するための伏線だったわけか、、、、、、、


7.聞こえないように

ユースレスマシンというストーリーはここで胸キュンのピークを迎えます。恋つづなら多分最終回です。

ストーリーは、ペース的には六月の梅雨時か、あるいは、「中途半端な形の月を見て」いたということは、七夕かも。


聞こえてないのを確かめて少しがっかりした
聞こえてないのを確かめて少し安心した


2000回中2000回聞こえるように歌ってんのかってほど刺さった歌詞。

伝わらなくてガッカリ。でも我に帰ったらクッソ恥ずかしいことを言っていたから聞こえてなくてよかった………………………………


一瞬で変化する感情の微動を詩に掬いとってくれる限り、ハンブレ好きはやめられない。


8.都会に憧れて

………………は?


何都会に憧れてんだよ。

H&Mの服買うことを背伸びって言ってそうなハンブレには、田んぼのあぜ道通って登校するくらいのちょっと田舎臭い町がお似合いだルォ??

「テレビもラジオもあるけれど こんな街 嫌だ」って歌ってるけどヨォ………………

吉幾三にマウント取りながら田舎にも迎合しないひねくれ者だったのか???????

まさかおめぇ、4月に上京することをステータスにしててウザいって友達にクギ刺された俺と同レベル????メジャーデビューで大切なものを置いてきてしまったな?


都会に憧れる日もあるけれど 
最期はここがいいと思ってる


………ごめんなさい。何でもある都会に憧れてその良さも分かったものの、やっぱり「不足」が多い地元が1番落ち着くっていう歌なんだろな。

「メジャーデビューしたけど大切なもの忘れてないぜ」

って伝えたいように思う。


そして、歌詞中の田舎の光景が具体的過ぎる。きっとムツムロの実体験なんだろう。


溜まっていた感情を全て吐き出すような
「街の一部だhあぁ」がムツムロ歌としてのチェックポイント。


9.SUMMER PLANNING

7月前半ぐらいに聴きたい歌。

いっちょ前に記念日とか言う関係性になるまでストーリーは進んでいた。


アレンジといい曲の全体的な雰囲気がKEYTALKのLove meとめーっちゃ被る。


「太陽と月みたいな」という歌詞といいラスサビのめっちゃ早口なパート部分といいジャニーズとかアイドルバンドみたいな要素を入れ込んでるのがとにかく新鮮。
そこは全くハンブレらしくない。
早口になると終始声を裏返すムツムロの慣れてなさには、可愛さすら感じる。

それでも春服を買えなかったり慣れないステップを踏もうとしたり、ウブさはちゃんと残ってのはハンブレらしい。


10.逃飛行

2017年発売のアルバム"RE YOUTH"の作品のリメイク版。
当時出たMVにはあったラスサビのシャウトが無くなってしまったのが、ちょっと寂しかったりする。

さてこの逃飛行という歌、ユースレスマシンというストーリーにおいては、さっき立てたSUMMER PLANNINGが実行された世界線なんだと思う。
時期はおそらく海の日のある3連休。
普段の退屈を脇に置き、夢中で楽しんでる感じ、The・青春。
「君」とならどこへでも行けてしまいそう。
本当になんだかワクワクする。
ドライブで聴きたい歌。

MVの男同士でわちゃわちゃしてる感じも最高なんだよな。

11.大掃除の後

夏休みに入り心の余裕ができたとき、ふと部屋の大掃除をしたくなったんだろう。
掃除に夢中になったら何か色んなものを失ってしまった感じがした。そのひとつに心の純粋さもあったのだろうか。

やまない雨はない確かにないけど
曇らない空もないじゃん

程よく捻くれてる。ただそれがいいのよなぁ。
どこか欠けてる、何かがチグハグ。
だがそのままでいい。
そのままで、何となくでいいから歩みを止めない。
それがハンブレッダーズの歩き方だという気持ちの表明なのかも。

ラスト曲でストーリーの終わりを告げるでもなく、これからのバンドとしての進化を、さりげなくハンブレらしいやり方で伝えてくれている。

まとめ

ユースレスマシンに秘められていると(俺なりに)考えたストーリーはいかがだったでしょうか。こじつけがあるとか言わないで。

アルバム全体で1つのストーリーを作り出しつつも、
1曲目と最後の曲で、ハンブレッダーズのこれからに期待を膨らませるようなメッセージを含めているようで、すごく完成度高い作品だなって思いました。
これはシャッフル再生じゃなくて、曲順通りに聴くことに値打ちがあるような気がします。

このアルバムを引っ提げたツアーがコロナの影響で全くできていない状況ですが、
そんな中で、新曲「ライブハウスで会おうぜ」
が出ました。
ぼっち目線でのライブ参戦あるあるが共感しか生まない神曲。
コロナ禍がきっかけで生まれた音楽の中でもダントツで推せる。
元からハンブレが好きな人も、少しでもハンブレを好きになってくれた人も、みんな布教してくれ。頼む。

0コメント

  • 1000 / 1000