★ポジティブ陰キャバンザイ系バンド
2日目の締めは、俺史上初のフェスのライブハウス枠参戦だった。ハンブレッダーズ。彼らの音楽に触れたのは、レディクレのわずか1週間前だった。レディクレに行く(同行はしない)友達と飯に行ったとき。どこに回るかとか話してて、俺が彼にお勧めのバンドを聞くと返ってきた答えがハンブレッダーズだった。初めて聞いた名前だったので、それどんな系統なん?っていう答えにくさMAXの質問をしてしまった。そしたら彼は「陰キャの心をポジティブに歌う奴」と。なんか面白そうだなと陰キャ極めてた俺は直感した。その時は緊急のタスクが片付いていて心の余裕があったので、帰って早速聞いてみた。
おまえら…どうして俺の青春模様を知っている…!!
俺が実際に経験したことのあるような出来事や心情ばかりが歌詞に卸されていたのだ。よくいる青春爽やか系バンドがバラ色思春期リア充のポジショントークすぎてウザったく思うことすらあるのだが、彼らは違った。「こっち側」の見方だ。ライブハウスを埋め尽くしたハンブレッダーズの、青春のワンピースを丁寧に切り取った歌詞をさらに厳選し、この記事に切り取っていく。
ハンブレッダーズ@LIVE HOUSE ANTENNA 2019/12/26 19:35~
生参戦:初 見た場所:真ん中あたり
★セットリスト★
1.DAY DREAM BEAT
2.スクールマジシャンガール
3.口笛を吹くように
4.ユースレスマシン
5.弱者の為の騒音を
6.銀河高速
アンコール:逃避行
★曲感想
1.DAY DREAM BEAT
「終業のベルで一目散、牢獄を抜け出した 一緒に帰る友達がいなくてよかったな」
「1人登下校中 ヘッドホンの中は宇宙 音も出さずに歌う 君が歌うから世界は輝くんだ」
部活後・授業後・塾の後。高校時代の俺は帰り道を誰かとともに過ごす機会にあまり恵まれなかった。だからか、自然と帰り道に大好きな音楽を聴くことが習慣化してきた。
それが習慣になると、イヤホンを忘れた時の絶望感がハンパなくなる。
それが習慣になると、知人の身内の愚痴や自慢を聞きながら帰る道に嫌気がさしてくる
一緒に帰る知人に対する嫌悪が毎回あったわけではないがそいつが俺に興味のない話題を延々と吹っ掛けられると本当にキツイ。両耳にイヤホンぶっ込みたくなる。帰り道とは、学校と家という別世界をつなぐ大事なものである。その時は直接自分に向かって話しかけてくる声は存在しない。そんな時こそ、耳の中を推しのあの声で埋め尽くす。そうすることで世界を輝かせることができる。そんな時間を思い出したとき、ライブハウスの俺は頭の中に宇宙が広がり、太い天の川が流れ出した。
2.スクールマジシャンガール
君がいつも僕にかけるのは 目を合わせるだけの黒魔術
君がいつも僕にかけるのは 名前を呼ぶだけの黒魔術
この曲もマジで好き。思春期の恋心まんまこれでめちゃくちゃ共感する。恋をすると、本当に何気ないしぐさとかで尊さを感じるものである。よく、理系男子は「おはよう!」の一言で落とせるという話がネタにされる。が、それ本当に一部の非モテ男子だけにしか理解できないことなのか???むしろ、一部の「激モテ」美男美女以外のほとんどの人に当てはまる経験なのではないか。好きになった人からの言葉ならーたとえそれが「おはよう」のたった4文字だとしてもー何を言われようが心の中が温泉のようにポカポカになるだろう????
この純真無垢な心を忘れてほしくない、そんな思いでこの曲ができたのだと思う。
だが現実にこんな甘酸っぱい恋が叶っていることはあるのか??実はほとんどないのではないか??それほど現実は厳しいという事実を、歌詞から示唆されている気がしてならないのだ…
曲中の歌詞より
「塗り重ねられる黒歴史」→告って玉砕したことがクラス中に広まる
「サヨナラすら交わせないのに」→文化祭などの自由解散イベントの放課後でクラスの中心の会話グループに入り、意中のあの子と最後まで話すチャンスを狙っているのに仲のいい友達にさっさと帰ろうと催促させられ、面と向かってバイバイも言えずに強制退場
「妄想は加速する」→実現を期待するシチュエーションが全く実現しない現実
という憶測が立ってしまった。そして俺はまた、叶わなかった青春への未練から涙してしまった。
ハンブレッダーズらしさに完全に飲まれてしまった…
~間MC~
ムツムロ「同窓会誘われてるような人はこのライブハウス来てないでしょ」
「でらしだけ呼ばれてないみたいですね」
5.弱者の為の騒音を
こどものままで おとなになろう
この曲の最大のメッセージは、間違いなくサビのこのワンフレーズである。レディクレの物販で買ったタオル(以下写真)にも「Never Ending Youth. Stay kid, Be adult」とあったし、これが彼らのコンセプトとも言えそう。
歳を重ねるほどに増えた語彙・覚えたファッション・雑多な価値観。これらを一度記憶の片隅に置いておき、子供時代の純真無垢な心を持ったまま再び歳を重ねていこう、そう思える曲である。
6.銀河高速
何処までも行けると思った夜だった 血と涙と汗が混じり合っていた
深夜モードだと、将来の自分に無限の可能性を感じ、何をするにもめちゃくちゃモチベーションが上がる。そんな無限性を宇宙に例えた一曲。斜に構えて世の中を見ているような、そんな高二病クサい歌詞が彼らの手に取られると妙に心地よい。「時給900円コンビニバイト」とか「イマドキ女子は皆Tik Tok」とかいかにも3流バンドが書きそうな歌詞を、むしろ彼らには書き続けてほしいなって思う。これから更なる飛躍が予想され、より大きいステージに立つことにもなるだろう。しかし、より大きいニーズに舵を取り、大衆迎合ビジネス型音楽に退化していくことは決してしないでほしいと思っている…。
アンコール:逃避行
大好きだった少年漫画の 主人公みたいになれはしないけど
ラストサビの大合唱でライブハウス古参勢の本気を見た。初見殺しだったので全くついて行けなかった…悔しい。
なんでもフェスのライブハウストリ枠は「卒業間近」であり、メインステージへ進出するためのラストステップという意味合いを持っているらしい。おそらく、2020年は彼らをメインステージのどこかで見ることになるのだろう。そんなときに、逃避行のような合唱を伴う歌で曲特有の「ノリ」を皆に広め、誰もが言えるように主導する役割を持っているのが、他でもない「ライブハウス組」なのだろう。ぜひとも全国のフェスに顔を出してほしいと思う。
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