俺がライブ通いを始めて早1年半。フェスも合わせると60通りを越すパフォーマンスを見てきましたが、この度遂に俺的ベストライブが更新されました。そうです。フレデリック様です。
コロナ云々で開催中止説も囁かれていましたが、大阪から往復夜行バス日帰りというストイックトラベルを経て、無事横浜アリーナに迎えられました。
4人の男たちが神になるまでの軌跡を余すところなく出していきます。ライブに行けなかった皆さんもこれを読んで共に神を見送りましょう。
フレデリック、始めます。
登場・威嚇
1.飄々とエモーション
前奏のダダッダッダダンダダッダッダダンで神道への扉が開かれました。
「忘れられそうにないなァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ」で間違いなく天界の何かが反応した。「エモーションッ」の直前まで叫び続けてたそれは、もしかするとフレデリック史上最長なのでは。
最後には恒例のウォォォ↑オォォォ↓ウォォォオォォォの雄叫び。一曲でステージを支配するのに持ってこいのナンバーでした。
2.シンセンス
フレデリックはギターイントロで引き込む曲が本当に多い。シンセンスもその1つ。
1万5000人のバイバイッバイバイッは感動的な景色でした。神と神の遣いによるエールの交換。
まだ全然バイバイの時間じゃないのに手振るのが何か変な感じでした。
3.VISION
この曲から、ステージバックのスクリーンにも色々な演出が流れ始めました。
色んな特殊効果が出てきたり、歌詞が表示されたり、、、さながらPerfumeのライブ演出を見ているかのような感覚でした。
4.オンリーワンダー
オドループと並ぶ二大ダンスナンバー(?)の1つを惜しげも無く出してきました。ここまで4曲何も喋らず進んだので、時間が経つのがあっという間でした。
音の魔法、音の引力
5.夜にロックを聞いてしまったら
ここからミディアム調の曲へ。「夜にロックを聞いてしまったら 春が始まった」の歌詞がなぜか強烈に印象に残っている。
ライブの後夜行バスで帰ったんですが、夜中3時頃になぜか目覚めて、なかなか寝つけずにいるとこの曲が頭の中を無限回リピートし始めて恐怖すら感じました。これが…夜にロックを聞くということ…
そして、日々の生活の様々な感情が入り混ざって1時間ぐらいずっと泣いてしまいました。
夜にロックを聞くと春が来るってなんだよ。真冬来たわ。
健司「みなさん、音楽は好きですよね。でも時に、鬱陶しいなぁって、嫌いになる時もありますよね。でも、なぜかやっぱり嫌いになりきれないですよね。そんな歌です」
6.スキライズム
「好きと嫌いは表裏一体」の脳内感情を生々しく歌う曲。心が疲弊している時って、どうしても音楽がノイズになることがあって、そういう時って「嫌い」の感情になっているんですよね。それでも、決して音楽を嫌いにはなれない、好きなんだという気持ちをこの曲で再認識。
これはフレデリックに限らない、音楽という宗教への布教歌。なぜなら彼らは音楽神だから。
7.シンクロック
いつの間にか曲が変わっていた。
今回のライブの魅せどころの1つに曲繋ぎの美しさがある。極力音を途切らせない工夫が随所で凝らされていた。次の曲への期待感も、このライブの見せ場にしていたと思う。
しかしスキライズム→シンクロックだけは繋ぎというより転調。楽しむ間もない楽しさ。
内容的にも「そういうところが嫌いです→分かり合いたくて伝えてく」という歌詞の流れが、ひねくれ→素直になるというありがちな人間の変化を2曲がかりで描いているよう。シンクロックがスキライズムの2番、みたいな。
8.真っ赤なCAR
フレデリックにしか出せないエモエモワールド全開。「カー」は“car"と“か?"を掛け合わせているのかな。フレデリックの4人が奏でる音の美しさは、ミディアムな曲でこそ味が出るのだと思いました。フェスのセトリでは絶対見れない世界。
ところで、「夜にロックを聞いてしまったら」あたりから、4人の方から強烈な音の引力を感じ始めました。フレデリックの世界に惹き込まれるとでも言えるでしょうか。
そして、そのせいで手を振りたくても重くて上がらないという初めての感覚に襲われました。
名画でも見ているような不動のポーズで曲を聴くしかなかったです。神の引力怖かった。
9.LIGHT
ここの繋ぎも綺麗でした。曲頭のギターの「デーンデンッ、デーンデンッ」のリズムだけが流れる繋ぎから、一気に全ての音が揃ってイントロへ。小気味よいサウンドが広がりました。
フレデリックの良さの1つは、曲の本来のアレンジをライブでも大切にすること、すなわち4人の音以外のアレンジをかき消さない点にあると感じました。しかもその上で健司の気合い入りボイスが音源を超えてくるライブクオリティ。
本来の曲の雰囲気を残しながらライブの演奏の価値を出せるところに、彼らの演奏力の真骨頂を見ました。
サプライズの応酬
10.NEON PICNIC
ここではフレデリックスタッフの粋な計らいがありました。ライブ前の会場スクリーンに、「メンバーには内緒」という前書きのもと、「NEON PICNICの時に、スマホのバックライトを色紙に投影し、イルミネーションを作りましょう」というアナウンスが出され、サプライズの全容を共有(映像のみ、音声なし)。そして、実際に完成した景色がこちら。
歌い出しの時の健司さん、「何これ…?」ってキョトンとした顔のまま歌ってました。それと対照的に、康司さんは目を細めてずっとニコニコしてました。
サビの健司さんが、「なぜ(こんな美しい景色が突如目の前に……?)〜」と叫んでいるように感じたのはきっと俺だけではないはず。
打ち合わせの時点では、「NEON PICNICの時は何かが起こるから期待してて」とだけ言われていたらしい(後のMCより)。
曲の終わりで、健司さんは「感動した。ありがとう」って囁いていました。サプライズ、大成功。
11.峠の幽霊
NEON PICNICの後、ステージが暗転。しかし峠の幽霊はステージが真っ暗のまま演奏。1万5000人のイルミネーションが一転、闇鍋ならぬ闇バンド状態に。
そして演奏後半から、どこからともなく白装束を着た幽霊(?)が登場。緑の霊魂を掲げてゆ〜っくりとステージ中央の道を通り、神殿と化したサブステージへ登る。
真っ暗なステージ。魂の移動。これは健司が移動する展開か。ところが、緑の霊が神殿に着く時まで、健司の声は明らかにメインステージから聞こえていた。ここの仕掛けは本当に謎でした。
緑の霊が神殿で高らかに上げられたところで曲が終わり、真っ暗闇へ。その直後…
12.対価
「間違ってたんだな」
瞬間移動した健司が突如、実体をサブステージに現しました。1人スポットライトを浴びる景色が突然目の前に現れ、思わずおぉ〜とめっちゃ汚い地声リアクションが出た。
エモエモな空間を演出する最高の演出。NEON PICNICでフレデリックを驚かせたはずが、気づけばサプライズの倍返しを観客が食らいました。
13.逃避行
ドラムの太鼓の音だけから始まり、ドラムの他の音、ベース、ギターと少しずつ音を増やして期待感を高めていくスタイル。ここは健司以外の見せ場。そして、後は健司さえ揃えばイントロが完成するところまで。そして健司がステージまで歩いて行き、ギターを担いだところで「ヴェーーンッッッ!」で始まるイントロのスタート。
この演出から、「1人でも欠けるとフレデリックじゃなくなる」という事実をひしひしと感じ、感謝のような気持ちに包まれた私でした。映像のカッコいいフォントで右読みの文字が出てくる演出も良かった。
終盤〜神の遊び尽くし
14.KITAKU BEATS
ここから怒涛の終盤戦。つまりはダンスナンバーの連続。帰りたくないビートをライブ終盤に持ってくると、マジで帰りたくない気持ちがカンストするので本当に困ってしまう。
15.バジルの宴
このへんでようやく、音の引力で封印されていた腕を完全にブンブンできるようになりました。頭が良くなるのフレーズが頭から離れません。
16.オドループ
フェスではトリ定番のキラーチューンとして機能していますが、ワンマンでのオドループは全然違う曲に聴こえました。いい意味で目立たないんですよね。
2時間あればオドループ以外でも無限に見せ場・新たに覚えられる曲が増えるというのを、オドループを聴くことで改めて分かりました。
2時間あればオドループ以外でも無限に見せ場・新たに覚えられる曲が増えるというのを、オドループを聴くことで改めて分かりました。
とはいっても、2番の拍手だけで作るカスタネットたんたんや隆二圧巻のギターソロなど、見せ場はちゃんと見せ場。ワンマンでも頼りになっていたのは間違いない。
そしてオドループを聴くことでライブの終わりが近づいているのを感じました、、、
17.イマジネーション
あっという間に本編トリ。でもこれが最後か、、って寂しくなるよりは、これからもよろしく!という前向きな感じのフィナーレ演出だった。
さぁ イマジネーションのことろをみんなで大合唱。最後はスタンド中段ぐらいを健司が歌いながらぐるっと一周。
とはいえ、これで終わってしまうの……?って思ってしまうような寂しさも。
そして惜しまれつつメンバーが引き上げる。最後はステージに白い幕がビャッと下ろされました。
想いを語り…そして神へ
アンコール前MC
アンコール時は拍手と無数のネオンの光が客席から光っていました。
するとステージに4人が登場…よかった。しっかりMCで喋ったのはこのライブの中では初めて。横アリ開催への感謝と、NEON PICNICサプライズの感想・裏話(上のセトリ参照)を語ってくれました。
その後、二手に分かれてサブステージへ。イマジネーションで通った通路を上手側を健司と隆二が、下手側を康司とたけちゃんが「ありがとう、ありがとう」って言いながらゆっくり歩いて行った。
そしてサブステージへ。全員丸椅子に座って、めっちゃラフな感じで話してました。神の井戸端会議。印象的だったのはたけちゃんの言葉。
「兵庫のアーティスト(三原兄弟・隆二)が目指す場所は神戸ワールド記念ホール。それは2018年に実現した。そして、僕みたいな横浜出身のアーティストの目標が横浜アリーナで。そういう意味でもここでライブができたことを誇りに思う。だからこそ、来てくれたみんなのためにドラム叩きます」
そしたら健司が「俺だってみんなのために歌いますー」って拗ねてた。神がガキになった瞬間。
全員が座ったまま、アンコールの曲へ。
En.CLIMAX NUMBER
健司「最新アルバムに収録されている曲ですが、ライブでは初めてやります」
最後は弾き語りでアコースティックになるのが、今までの重音とのギャップで良かったです。ステージ上では雪が降る演出も。
この時が来るまであえて他のライブで温存していたのでしょうか。
「今年最後の雪」「最後のナンバー」「今夜でさよならさ」などクライマックスを連想させるフレーズが何回も繰り返され、その都度グサグサ刺さってきました。これでライブが終わる、、、じわじわと涙がこぼれそうになってきました。
曲が終わると、メインステージに降ろされていた幕が隙間をのぞかせ、そこから光が差し込まれ、メインステージへの道を真っ白に照らされる。新世界への扉。神のみが通るのを許された道。そこへゆっくりと、ゆっくりと、フレデリックは歩みを進めていきました。ここでボロ泣きでした。
最後のナンバーを終え、次のステージへ進み行く4人。
こんな感動的で儚い別れがあっていいのか。また会おう。さらに進化した神の姿をこれから楽しみにしていろよ。そんな気持ちが4人の背中から感じ取れました。
そして天への扉をくぐり、サヨナラ……
En2.終わらないMUSIC
………まだ終わらなかった。
クライマックス迎えて終わりと思わせておきながらこの曲を持ってきたのは、きっと「これからもフレデリックの音楽は終わらない」という決意表明の現れ。そんなメッセージが伝わってきて、ボロ泣きいたしました。
そして余韻に浸りすぎた結果、間奏のキーボード?のシャラシャラ音を聞くと涙腺が崩れるパブロフの犬と化した。
終わりには、映画のエンドロールのようにスタッフの名前がズラリ。その後には歴代のライブ一覧がズラリ。
さらには、秋のライブツアーの新情報も出た上に、1年後の武道館ライブも発表。
感極まりってまた涙。しばらくこの場の雰囲気に酔いしれたくて、離れたくなかったです。
フレデリック、武道館本当におめでとう。そして、これからも終わらないミュージックをお願いします。
さいごに
セトリプレイリスト
※峠の幽霊のみ未収録
〜ライブを見に来た関係者一覧〜
go!go!vanillas全員・UNISON SQUARE GARDEN全員・巨匠(KEYTALK)・RYU-TA/KOUHEI(04 Limited Sazabys)・Bentham・中西雅哉(THE ORAL CIGARETTES)・谷口鮪(KANA-BOON)・パノラマパナマタウン・雫/ミツヤスカズマ(ポルカドットスティングレイ)・森圭介(日テレアナウンサー)
〜花束贈呈のあったアーティスト一覧〜
04 Limited Sazabys・BLUE ENCOUNT・KEYTALK・SCOOBIE DO・Bentham・ポルカドットスティングレイ・UNISON SQUARE GARDEN・夜の本気ダンス・sumika・My Hair is Bad・フジファブリック
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