邦ロックアカを始めて4か月弱。フォロワーさんからたくさんのオススメバンド・曲の紹介をしてもらったが、あまねくバンドの混沌の中から見つけた宝石がある。それがPENGUIN RESEARCHだった。
一度の飯でラーメンとうどんを同時には食えないように、俺は似たような音楽感のバンドを2つも3つも好きになることが少ない。新しくアーティストを好きになる時は、それにしかない魅力みたいなものを好きな理由に求めてしまう。PENGUIN RESEARCHには、俺自身気づかなかったツボを見抜かれ、見事に新しい性癖を開拓されてしまった。それが3つもあった。
①ピアノ×ハードロックという唯一の境地
キーボード×ロックならsumikaやキュウソがいて(両者もかなり方向性は違うが)、ピアノ音を前面に出したバンドならヨルシカやずとまよがいる。だがピアノ×ハードロックはそれらと全く違う。ピアノをハードロックに持ち込んだ発想がピアノの常識を覆した。
そしてあろうことか、ギターベースドラムという「水」の中にピアノという音質も用途も異なる「油」が入ってきたにもかかわらず、見境がないほどに融合してしまったのである。油が水に突然変異した。
曲中では、ピアノとしての美しさは保ちつつ、音が躍っている。
『敗者復活戦自由形』『バケモノダイバー』などのイントロはギターが主旋律を担っているが、この「イントロを代表するメロディー」としてのギターの代役をさながらピアノが果たしてくるのである。『ジョーカーに宜しく』『SUPERCHARGER』『スポットライト』などは、イントロメロディーをピアノが支配してしまった好例だ。
しかも主旋律ばかりを任されるだけでなく、『敗北の少年』『方位磁針』のサビでは音が後ろに回り込んでベースのような暗躍にるスタンスだってとれる。ピアノのポテンシャルの200%を見てしまった。
ピアノだからこその感情演出も、様々な表現の広がりを見せてくれる。ピアノのポテンシャルをフルに活かしているとはこのこと。
例えば『A WILL』や『スポットライト』のイントロは「未来への意志」を感じさせ、
『それでも闘う者たちへ』『世界最後の日に』のイントロは悲劇の淵に立っている感じにさせる。
ピアノイントロが曲の最初から感情誘導をしてくれるから、歌詞が頭に入ってきやすく、解釈が進む。故に名曲を名曲として認知するのも簡単になり、それは聞き手にとっていいことだと思う。
なかなか真似できないやり方だと思うわこれ。
②並外れた演奏の巧さ
演奏の技術もヤバい。まず、個々のテクニックがヤバい。その片鱗はあらゆる曲からにじみ出ているだろう。
素人目に見れば、キーボードは『それでも闘う者たちへ』ベースは『千載一遇きたりて好機』ドラムは『敗者復活戦自由形』ギターは『決闘』がヤバい一例だと思っている。ただ個別のヤバさをしっかり確認できるのは『ハードロック★パラダイス』。
個々のテクニックがあったとて、調和が無ければ台無し。PENGUIN RESEARCHの本当のヤバさは、バンドとしての演奏の一体感にある。
ハードロック故にバンド全体の音が多いのにも関わらず、ごちゃごちゃせず音がまとまっているのだ。
というのは、ここはキーボードが出るところ、ここはギターが出るところといった形で、演出の時それ以外の楽器がメインの音を盛り立てるよう程々に自重しているようなのである。
そのため、「耳に優しいハードロック」なのだ。とにかく音をかき鳴らすのがロックだぜぇ〜みたいなガシマンバンドはけっこういる気がしていて、特に激しい部分を聴いていると、楽器の音とは別に出処が分からないノイズが聞こえてくることがある。
PENGUIN RESEARCHにはその澱みがない。
そのため、ハードロックのくせに耳に優しいという、最高な矛盾が生まれるのである。
また、ボーカル生田鷹司は小節のおわりに歌詞を伸ばしたり、間奏であれやこれや叫ぶことがない。ちゃんと楽器のための間奏になっているから、そこでは楽器それぞれが主人公のように生き生きとしている。
もう一つ、演奏の凄みを増してる要素を挙げるとするなら、ボカロ出身のボーカル生田鷹司の声だろう。その自由自在な声の可動域によって、表現の可能性が底知れず広がっている。
文字通り「声も立派な楽器」を地で体現していて、『青い灯台』のような落ち着いた声から『ハードロック★パラダイス』みたいなただ叫んでるだけの声まで、同じ人とは思えない歌い方の幅を持っている。そんなコブクロ黒田とキュウソのヤマサキセイヤの機能を一つにまとめた精密機械が調和上手なスーパーパフォーマーズと組めば鬼にチェーンソー。この結集こそ演奏のヤバさたる所以。
③「負けがい」を教えてくれた歌詞
「負けがいのある人生を唄うバンド」という、PENGUIN RESEARCH本人がSNS広告で出してたコピーを借りるようで恐縮だが、このフレーズがドンピシャでバンドのイメージを物語ってる。そして、負けがいを感じさせる歌詞が本当に刺さる。「路地裏の真実を謳え叫べ(『嘘まみれの街で』)とあるが、これこそ彼らの音楽の発信地点なのだろう。
そんな路地裏にいそうないわゆる「負け組」とか「マイナスからの這い上がり」は曲名にもこれでもかというほど出てくる。
例)『敗北の少年』『敗者復活戦自由形』『それでも闘う者たちへ』『逆襲』『決闘』『シニバショダンス』etc...
そして負の感情をさらけ出している部分に限って言葉が言い捨て口調になっているのが赤裸々感がある。
「おい何だよこれ 公正平等なんて笑わせんな」(敗者復活戦自由形)
「うるせえな しんみりなんてしたくねえ 狂気ひとつ携え 街へと繰り出そう!」(バケモノダイバー)
「どうか止めてくれるな そこで見ててくれよな」(決闘)
「失敗は成功のもと」とはよくいったものだが、PENGUIN RESEARCHの曲は挑戦する勇気を与えてくれる。というか、失敗は楽しいものだとすら思わせてくれる。これはもはや「元気が出る」系のバンドなどではない。手が動き出す系のバンド。やってみようの精神。そのうちトライって歌詞入った曲絶対出す。
「全心で全霊の選択に正否などないさ 答え合わせは全部終わった後でいい そうやって掴んだ瞬間は、結末は何より眩しい最後の手向けになる」~~『Alternative』の歌詞より
「選択の良し悪しは、選択後の努力によって決まる」
~~俺が高校時代に尊敬してた恩師の口癖
ー選択の答えは自分で掴みに行くっていう考え、恩師から授かった俺の哲学にドンピシャなんスよね
以上、PENGUIN RESEARCHの布教でした。
最後に俺が一番好きなPENGUIN RESEARCHの曲置いときますね。これみたいにデカい会場で大合唱したい。
てかライブに行きたい…みんな耐え忍ぼうな…分かったか…まだだ…死ぬなよ…ただ何処へでも行くのはやめろ…
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